酒田五法はインジケーターなどを使わずに、チャート上のローソク足の組み合わせを分析するプライスアクション系の技術です。
ダウ理論やエリオット波動論と並んでFX・株式投資・仮想通貨のテクニカル分析で「まずはここから学ぶ」基本的な考え方のため、テクニカル分析の初心者の方には学習が必須の分野といえます。
本記事では、酒田五法の基本パターンである三山・三川・三空・三兵・三法を紹介します。
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目次
酒田五法の基本
酒田五法の発案者は、ローソク足の考案者でもある江戸時代の天才相場師本間宗久です。
酒田五法は、本間宗久の出身が山形県酒田市であることが名前の由来と言われています。
本間宗久は「仁・勇・智」の3要素が相場で勝つための相場の心得だとする「宗久三位伝」も残しています。
宗久三位伝で説かれている相場の心得
機を待つに即ち「仁」
チャンスがくるまで待ちましょう。
機に乗ずるに即ち「勇」
チャンスがきたら勇敢に乗りましょう。
機を転ずるに即ち「智」
次に繋げるために状況に応じて気持ちや考えを切り替えましょう。
現在は、「本間宗久相場三位伝~相場道の極意~」というタイトルで、原文と現代語による詳細な解説を交えて再構成されています。
酒田五法「三山」
読み:さんざん
三山はトレンド転換を示唆するチャートパターンです。
通常3本のローソク足で完結する酒田五法の基本パターですが、5つの法則のうちで唯一3本以上のローソク足で形成されるチャートパターンが三山です。
つまり、長い時間をかけて判断が必要となります。
三山
読み:さんざん
現代では三尊(さんぞん)と呼ばれることが多い。
- 出現に注意したい相場:天井圏
- 3度同じ価格帯が高値になり、上抜けが出来なかったチャートを形成
※2回目の山が一番高くなっている形は三尊天上と呼ぶ
三山|値動きの解説
前回の高値を更新するためには、それなりの追加材料、新たな相場参加者が必要になります。
3度も同じ価格帯で高値を付けている=その価格以上の価値がないと判断されている状態を示し、下げ相場にトレンド転換のサインとなります。
何度も同じ価格帯で高値を切り上げることがない価格はレジスタンスラインとして機能しているといえます。
このレジスタンスラインをを上回るような値動きをする場合は、さらに上げ相場が続く可能性も高いといえるでしょう。
逆三山
読み:ぎゃくさんざん
現代では逆三尊(ぎゃくさんぞん)と呼ばれることが多い。
- 出現に注意したい相場:底値圏
- 3度同じ価格帯が底値になり、下抜けをしなかったチャートを形成
※2回目の山が一番低くなっている形は逆三尊と呼ぶ
逆三山|値動きの解説
前回の安値を更新するためには、それなりの悪材料や売り圧の増加が必要になります。
3度も同じ価格帯で安値を付けている=その安値に達すると株を買う人がおり株価がそれ以上下回らないを示し、下げ相場に転ずるパターンとなります。
何度も同じ価格帯で安値を切り下げることがない価格はサポートラインとして機能しているといえます。
このサポートラインをを下回るような値動きをする場合は、さらに下げ相場が続く可能性も高いといえるでしょう。
酒田五法「三川」
読み:さんせん
三川は、大きな2本のローソク足の間に実体の小さいローソク足や十字線(コマ線・極線)が出現した形です。
3本のローソク足で相場の転換点を示す典型とされています。
三川 明けの明星
読み:さんせん あけのみょうじょう
- 出現に注意したい相場:下降相場
- 比較的長い陰線
- 窓明けして長い下髭をつけた極線
(十字線または十字線に近い実体の短い線)
※陰線でも陽線でもOK - ギャップアップして寄り付いた比較的長い陽線
(2本前の始値と近い位置まで突き返して引ける。)
★③が十字線の場合は「明けの十字星(あけのじゅうじぼし)」と呼ばれます。
明けの明星|値動きの解説
下降相場での長めの陰線がでて急落。
この時点でまだ下げのエネルギーが強いことがわかります。
翌日にギャップダウンて寄り付くことで下落のエネルギーがとても強いことを示していますが、猛烈な買いがはいることで十字線やそれに近い実体の短い線として表れます。
つまり、2本目の下髭をつけた極線は、その日の強かった売りエネルギーが打ち消されたことを意味します。
2本目の売りエネルギーの打ち消しに加えて、3日目にギャップアップして寄り付き値上げすることで下降相場が底打ちしたことが示唆されます。
三川 宵の明星
読み:さんせん よいのみょうじょう
- 出現に注意したい相場:上昇相場
- 比較的長い陽線
- 窓明けした長い上髭をつけた極線
(十字線または十字線に近い実体短い線)
※陰線でも陽線でもOK - ギャップダウンして寄り付いた比較的長い陰線
★③が十字線の場合は「宵の十字星(よいのじゅうじぼし)」と呼ばれます。
宵の明星|値動き解説
上昇相場での長めの陽線は、買いのエネルギーが強いことがわかります。
翌日ギャップアップして寄り付くことで上昇のエネルギーがとても強いことを示していますが、猛烈な売りがはいることで十字線やそれに近い実体の短い極線として表れます。
つまり2本目の上髭をつけた極線は、その日強かった買いのエネルギーが打ち消されたことを意味します。
2本目の買いエネルギーの打ち消しに加え、3本目にギャップダウンして寄り付いて陰線をつけることは相場の天上を示唆しているといえます。
酒田五法「三空」
読み:さんくう
三空は、酒田五法の中において、相場の過熱感を示唆する位置づけにあります。
前日と当日のローソク足の間に空間ができた状態で寄り付き、ローソク足が交わることなく当日引けた場合にできる空間を「窓」「空」と呼ばれます。
ギャップアップして空いた窓は騰勢の強さ、ギャップダウンして空いた窓は先安観を示します。
三空踏み上げ
読み:さんくうふみあげ
- 出現に注意したい相場:底値域の長いレンジを上抜けたところ、または上昇相場
- 3日(3本)連続の窓明けでの高騰
三空踏み上げ|値動き解説
ギャップアップした窓は騰勢観を表しています。
長いもみ合い相場後に出現した場合は上昇相場の初動と考えることもできます。
このように3つの窓あけはトレンドが非常に強いことを示してはいますが、酒田五法において三空叩き込みは、材料出尽くし=利食い、手仕舞いのシグナルとしています。
株価が大きく上昇した後にでる三空の場合は、人気が一気に高まりすぎて天上になりやすいだけでなく、
ロングポジションをとっている人が多いことから、反転した場合の下落するエネルギーも大きくなります。
三空出現の位置、窓の大きさ、ローソク足の大きさにも注目する必要があるでしょう。
三空叩き込み
読み:さんくうたたきこみ
- 出現に注意したい相場:高値域の長いレンジを下抜けたところ、または下降相場
- 3日(3本)連続の窓明けでの下落
三空叩き込み|値動き解説
ギャップダウンした窓は先安観を表しています。
長いもみ合い相場後に出現した場合は下降相場の初動と考えることもできます。
このように3つの窓あけはトレンドが非常に強いことを示してはいますが、酒田五法において三空叩き込みは、ロングポジションの買いシグナルとしています。
株価が大きく下落した後にでる三空の場合は、一気に売られ、いわゆる売り枯の状態になりやすいだけでなく、
ロングポジションで買い向かってくる人が多いと、ショートポジション者の買い戻しも入り、反転した場合に上昇するエネルギーも大きくなります。
三空出現の位置、窓の大きさ、ローソク足の大きさにも注目する必要があるでしょう。
酒田五法「三兵」
読み:さんぺい
三兵の名前の由来は、劣勢中の戦で第1弾・第2弾・第3弾と兵が投入され戦局を押し戻し優勢へ転じていく姿に謎らえられています。
同じ色のローソク足が3本連続して出現したもので、三空と違って窓あけのないチャートパターンです。
「三兵」とは、発生する位置によってシグナルの意味が変わります。
赤三兵
読み:あかさんぺい
- 出現に注意したい相場:底値域の長いレンジ
- 安値と高値を切り上げながら(実体同士が重なっている)3日連続で陽線が出現している。
- 陽線の長さが短くなっていっているものは除外。
赤三兵|値動き解説
レンジ(保ちあい)相場において陽線が3本出た場合は先高感を示します。
陽線の長さが日が経つにつれて短くなる場合は、勢力の衰えを表すため、赤三兵には含まれません。
出現位置と、ローソク足の長さの変化に注目しましょう。
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赤三兵先詰まり
読み:あかさんぺいさきづまり
- 出現に注意したい相場:底値域の長いレンジ
- 安値と高値を切り上げながら(実体同士が重なっている)3日連続で陽線が出現している。
- 3本目の陽線に長い上髭がついている。
赤三兵先詰まり|値動き解説
赤三兵先つまりのポイントは3本目陽線の『長い上髭』です。
(日足の場合)1日の間で、買い需要によって価格を上げたものの、売り需要の方が多くなり高値を維持できず下落してしまったことを表すのが上髭です。
そのため、実体が小さい長い上髭の特性としては、勢いの衰えを示します。
(長い上髭ローソク足の基本としては、『高値域での出現は頭打ち反転、底値域での出現は底打ちの予感』となっています。)
赤三兵の3本目で出現する上髭もコレに当てはまり、上昇の勢いが弱めな赤三兵だといえるでしょう。
赤三兵思案星
読み:あかさんぺいしあんぼし
- 出現に注意したい相場:底値域の長いレンジ
- 安値と高値を切り上げながら(実体同士が重なっている)3日連続で陽線が出現している。
- 3本目の陽線が実体の小さいコマになっている
赤三兵思案星|値動き解説
赤三兵思案星のポイントは3本目陽線が『コマ』であることです。
陽線のコマのは別名小陽線ともいい、実体も小さく値幅も短い(髭も短い)陽線のことを指します。
一般に保ち合いの中で出現するといわれており、株価の方向性に迷いがある状態を指します。
それ1本のみで値動きを判断するローソク足とは違い、前後の値動きも重要となります。
赤三兵の3本目で出現する小陽線は、上昇の勢いが弱くなってきており方向性に迷っている赤三兵だといえるでしょう。
黒三兵(三羽烏)
読み:くろさんぺい(さんばがらす)
- 出現に注意したい相場:高値圏のレンジ
- 高値と安値を切り下げながら(実体同士が重なっている)3日連続で陰線が出現している
- 陽線の長さが短くなっていっているものは除外
黒三兵|値動き解説
レンジ(保ちあい)相場において陰線が3本出た場合は先安感を示します。
陰線の長さが日が経つにつれて短くなる場合は、勢力の衰えを表すため、黒三兵には含まれません。
出現位置と、ローソク足の長さの変化に注目しましょう。
黒三兵先詰まり
読み:くろさんぺいさきづまり
- 出現に注意したい相場:高値域の長いレンジ
- 高値と安値を切り下げながら(実体同士が重なっている)3日連続で陰線が出現している
- 3本目の陰線に長い下髭がついている
黒三兵行き詰まり|値動き解説
黒三兵先つまりのポイントは3本目陰線の『長い下髭』です。
(日足の場合)1日の間で、強い売り需要によって価格を下げたものの、買い需要の方が多くなり買い戻しが起こったことを表すのが下髭です。
つまり、実体が小さい長い下髭の特性としては、売り勢力の衰えを示します。
(長い下髭ローソク足の基本としては、『底値域での出現は底打ち反転、高値域での出現は騰勢が強そうにも見えますが、急反落に注意』となっています。)
黒三兵の3本目で出現する下髭もコレに当てはまり、下降の勢いが弱くなってきている黒三兵だといえるでしょう。
黒三兵思案星
読み:くろさんぺいしあんぼし
- 出現に注意したい相場:高値域の長いレンジ
- 高値と安値を切り下げながら(実体同士が重なっている)3日連続で陰線が出現している
- 3本目の陰線が実体の小さいコマになっている
黒三兵思案星|値動き解説
黒三兵思案星のポイントは3本目陰線が『コマ』であることです。
陰線のコマのは別名小陰線ともいい、実体も小さく値幅も短い(髭も短い)陰線のことを指します。
一般に保ち合いの中で出現するといわれており、株価の方向性に迷いがある状態を指します。
それ1本のみで値動きを判断するローソク足とは違い、前後の値動きも重要となります。
黒三兵の3本目で出現する小陰線は、下降の勢いが弱くなってきており方向性に迷っている黒三兵だといえるでしょう。
酒田五法「三法」
読み:さんぽう
酒田五法における三法は、売買のシグナルを示すのではなく、”売買には「売り」「買い」「休む」の3つの手法がある”と説かれている法則が示されています。
上げ三法
読み:あげさんぽう
- 出現に注意したい相場:上げ相場
- 1本目:比較的長めな陽線
- 2~4本目:①の陽線の値幅内で、陰線が3本連続して出現
(1本目のローソク足を上抜けも、下抜けも、していない状態) - 5本目:4本目の陰線よりも高値寄りして、3本の陰線を上抜くほどの大陽線
上げ三法|値動き解説
陽線の値幅内におさまるように出現する3本の陰線は、株価上昇(買い)の勢いは衰えているが、売りの勢いが強いわけでもないことをしめしているといえます。
つまり、小休止=調整を意味している。
小休止が終わりを告げると再び上げ相場が続くパターンです。
1本目の陽線を下抜けてしまうことがあると売りの勢いが強まっているといえるため、注意が必要です。
一般的には、3本の陰線を上抜ける陽線を確認したのち、順張りロングでのエントリーポイントにするという考え方があります。
下げ三法
読み:さげさんぽう
- 出現に注意したい相場:下げ相場
- 1本目:比較的長めな陰線
- 2~4本目:①の陰線の値幅内で、陽線が3本連続して出現
(1本目のローソク足を上抜けも、下抜けも、していない状態) - 5本目:4本目の陽線よりも高値寄りして、3本の陰線を上抜くほどの大陰線
下げ三法|値動き解説
陰線の値幅内におさまるように出現する3本の陽線は、株価下落(売り)の勢いが衰えているが、買いの勢いが強いわけでもないことをしめしているといえます。
つまり、小休止=調整を意味している。
小休止が終わりを告げると再び下げ相場が続くパターンです。
1本目の陰線を下抜けてしまうことがあると買いの勢いが強まっているといえるため、注意が必要です。
一般的には、3本の陽線を上抜ける陰線を確認したのち、順張りショートでのエントリーポイントにするという考え方があります。
酒田五法の使い方【実践】
酒田五法は「実戦のトレードでは使えない」という評価も一定程度あります。
しかし多くの専業トレーダーが読み取っている需給の変化を言語化すると、酒田五法が指し示すような需給の変化をトレードの判断の材料としていることも多くあります。
三空、三法、三川をはじめとする酒田五法など、「有名なチャートパターンの背景にはどのような需給状態が存在するのか」を理解することができるとトレード実践の勝率向上に好影響を与えるでしょう。
CFDや先物で日経平均などの株価指数をトレードする場合はもちろん、「8306三菱UFJ」、「7203トヨタ」、「9101郵船」をはじめとした個別株投資の買い方、買い時を考える材料の一つになります。
もちろん、ナスダック指数を酒田五法で分析することによって大和系の「FreeレバレッジNASDAQ100」や楽天系の「楽天レバレッジNASDAQ-100」といわれる『レバナス』を買い付けるタイミングの判断基準にもなり得ます。
窓を扱う「三空」と「三川」は現物取引時間外の材料によって値動きが生じやすい株価CFDや個別株では無くてはならない要素です。
雇用統計やFOMCなどのファンダメンタルズの変化が地続きでチャートに出てしまう為替FXでは「三山」、「三法」が有効になるでしょう。
陽線、陰線の連続性からランダムウォークからトレンド状態への変化をみる「三法」は投資商品を選ばず、テクニカル分析の重要な観点となります。
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