FXトレーダーにとってアメリカの重要経済指標を読み解く力は必須スキルです。
そんな重要指標の中にISM製造業景況指数があります。
ISM製造業景況指数はアメリカの景気の先行きを見通す重要な手がかりです。
ISM製造業景況指数の理解について勉強していきましょう。
目次
ISM製造業景況指数とは?
【ISM製造業景況指数の基本情報】
発表元:全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)
発表のタイミング:毎月第1営業日、夏時間では日本時間 00:00、冬時間では日本時間 23:00に発表される
調査対象:アメリカ全土の300社以上の購買(仕入れ)担当者を対象にアンケート調査を実施
ISMとはInstitute for Supply Managemenの頭文字をとった名称です。
日本語では「全米供給管理協会」と訳されます。
そんなISMが発表する指数の1つがISM製造業景況指数です。
ISMが製造業を対象に、アメリカ全土の300社以上の購買(仕入れ)担当者へアンケート調査を実施してデータ収集が行われています。
似た名前の指数としてあるので「ISM非製造業景況指数(ISMサービス業景気指数)」がありますが、こちらは主にサービス業を中心とした統計になります。
どちらの景況指数もアンケート方法や結果の出し方は同じです。
アンケート方法はシンプルで、1か月前と比較し、「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」の3つの選択肢から回答する三者択一方式です。
発表のタイミングは毎月第1営業日で、夏時間では日本時間 00:00、冬時間では日本時間 23:00に発表されます。
ISM非製造業景況指数について勉強したい方は別の記事にて解説しています。
参考FXのファンダメンタルズ分析【ISM非製造業景況指数】経済指標の概要編
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ISM製造業景況指数の項目
ISM製造業景況指数ではアンケートに含まれている項目が開示されています。
また、項目ごとの詳細も発表されており、項目ごとに分けてみることでより正確な分析が可能です。
ISM製造業景況指数に含まれている項目は以下の通りです。
- 生産
- 雇用
- 入荷遅延
- 在庫
- 顧客在庫
- 支払価格
- 受注残
- 新規輸出受注
- 輸入
以上の10項目のうちその内の、新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫の5項目を平均して総合指数が計算されます。
ISM非製造業景況指数(ISMサービス業景気指数)とは項目や総合指数の計算方法が若干違いますので間違えないように気をつけましょう。
ISM製造業景況指数でわかること
ISM製造業景況指数の基本的な見方を解説していきます。
ISM製造業景況指数の基本的な見方
ISM製造業景況指数は、三者択一方式でアンケートが実施されます。
集められたアンケート結果を数値化し、0から100までの数値に変換します。
発表された数値から主に以下のように非製造業の景気を測ることができます。
- 50よりも小さい:景気悪化
- 50ぐらい:現状維持
- 50よりも大きい:景気良好
要するに50が真ん中の数値として見ればいいわけです。
50よりも小さければ景気は悪化しており、逆に大きければ景気がよくなっていると読み取れます。
ちなみに、ISM非製造業景況指数(ISMサービス業景気指数)も見方は全く同じです。
ISM製造業景況指数は景気の先行きを示唆する
ISM製造業景況指数はその名の通り企業の「景況感」を表しています。
特にISM製造業景況指数は製造業の指数ということもあって、輸入や輸出に大きく影響をもたらします。
アメリカの主力産品といえば自動車・電気・ハイテク機械などですので、ISM製造業景況指数はこれらの未来を図るのに重要な役割を担っています。
ISM製造業景況指数からの影響が大きい通貨
【ISM製造業景況指数影響が大きい通貨】
- 米ドル
- ユーロ
- ポンド
- 円
- 豪ドル
ISM製造業景況指数をにせよISM非製造業景況指数にせよ、基本的には流通している通貨量の多いものが影響を大きく受けることになります。
米ドルは言うまでもありませんが、ISM製造業景況指数が発表される前後は、ユーロやポンド、円などといった流通量の多い通貨に注意しておかなくてはなりません。
また、オーストラリアはアメリカとの貿易が盛んなため豪ドルも注意深く見ておく必要があります。
もし、相場状況が読めないという場合には、ISM製造業景況指数発表前後はこれらの通貨の取引を一時中断するほうが賢明でしょう。
2021年のISM製造業景況指数
現在までで発表されている2021年のISM製造業景況指数は以下のようになっています。
データ期間 | 予想 | 結果 | 前回改定値 |
2021年08月 | 58.5 | 59.9 | --- |
2021年07月 | 60.9 | 59.5 | --- |
2021年06月 | 60.9 | 60.6 | --- |
2021年05月 | 60.9 | 61.2 | --- |
2021年04月 | 65 | 60.7 | --- |
2021年03月 | 61.5 | 64.7 | --- |
2021年02月 | 58.6 | 60.8 | --- |
2021年01月 | 60 | 58.7 | 60.5 |
概ね60前後の値になっており、コロナショックから順調に回復している様子が伺えます。
予想から大きく乖離することもなく期待通り着実に景況はよくなっていると言えるでしょう。
ちなみに、コロナショックによって2020年3月から5月の間は50を下回っていました。
- 2020年03月49.1
- 2020年04月41.5
- 2020年05月43.1
予想と結果の乖離もかなり大きものでしたので相場が混乱している様子がISM製造業景況指数からも伺えます。
まとめ
みなさん、いかがだったでしょうか?
今回はISM製造業景況指数について徹底解説していきました。
今回の記事の概要は以下の通りです。
- ISM非製造業景況指数は製造業の景況感を表す指数
- 50を基準として景況感をは図ることができる
- 製造業だけでなく貿易業にも大きく影響する
- 流通量の多い通貨はもちろん、アメリカと貿易が盛んな豪ドルにも注意が必要
- 結果と予想が乖離している時には要注意
ISM製造業景況指数は米国経済のこれからを見通す大きな手がかりとなります。
もちろんFX取引にも大きく影響を与えるため、毎月必ずチェックする必要があります。
本サイトでは、毎月行われるISM製造業景況指数の発表を含め、さまざまな経済指標についての解説記事も掲載しています。