FXでよく使用されるテクニカル指標の移動平均線とMACD。
この2つは、単体で使用しても、相場のトレンドをキャッチしやすく、トレードを優位にできますが、2つを併用することで、さらにトレードを優位なものにしてくれます。
今回は、その2つの併用手法について解説します。
なお、本文では、特段記載がなければ、移動平均線=単純移動平均線(SMA)とします。
目次
そもそも移動平均線とMACDとは?
各インジケーターについて簡単に説明します。
■移動平均線
ローソク足の終値の平均を繋いで表示した線のことです。
例えば、5日移動平均線は、当日を含めた直近の5日間の終値を平均した数字を線として表示させたものです。
通常、移動平均線と言うと、単純移動平均線(SMA)を指す場合が多いです。
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■MACD
Moving Average Convergence and Divergence の頭文字を並べられたもので、「マックディー」と呼ばれています。直訳すると、「移動平均の収束と発散」となります。
SMA(単純移動平均線)や、短・長2つの期間のEMA(指数平滑移動平均線)を使用し、直近の価格変動をいち早く掴むことができるテクニカル指標です。
MACDの基礎を勉強したい方はこちらチェック!
移動平均線とMACDの併用手法の概要
移動平均線で相場のトレンドを判断し、MACDのエントリーサインで、トレードを行います。
例えば、移動平均線で相場を上昇傾向と判断した場合、MACDにおいても、上昇のエントリーサインが出ることで、買いポジションでのエントリーとなります。
したがって、移動平均線とMACDの双方で、同じ向きでエントリーサインが出る必要があります。
なお、移動平均線でトレンドを見るため、時間足は4時間足や日足など、より上位足が有効と考えられます。
併用手法の強み・弱み
移動平均線、MACDともに相場のトレンドをキャッチするうえで便利な指標です。
移動平均線は、あくまで過去の平均値を表示するため、エントリーサインが遅く、MACDは、エントリーサインは早いが、特にレンジ相場では頻繁に出てしまう(だましが多い)という弱みがあります。
移動平均線とMACDを単体で使用した場合の特徴
強み | 弱み | |
移動平均線 | だましが少ない | サインが遅い |
MACD | サインが早い | だましが多い |
2つを併用することで、それぞれの弱みを補填する形で、強みを発揮します。
なお、当然ではありますが、併用する分、エントリーポイントが少なくなります。
移動平均線とMACDを併用した場合の特徴
強み | 弱み | |
移動平均線×MACD併用 | だましが少ない サインが早い | エントリーポイントが少ない |
併用手法の基本的な使い方
インジケーターのパラメーター設定や、売買シグナルについて解説していきます。
移動平均線とMACDのパラメーター設定
移動平均線:SMA25またはSMA20
MACD:一般的な初期値である12EMA・26EMA・シグナル9
ローソク足:4時間足
※上記設定値は、好みやトレードスタイルにより異なりますので、あくまで一例です。
先述のとおり、時間足は4時間足や日足など、より上位足が有効と考えられます。
ただし、MACDの設定を変更するケースは少ないようです。
移動平均線MACD併用手法の売買シグナル
・買いエントリーの場合:移動平均線が上向き、かつ、MACDでゴールデンクロスのサインが出た場合
・売りエントリーの場合:移動平均線が下向き、かつ、MACDでデッドクロスのサインが出た場合
※買いエントリー時はコンバージェンス、売りエントリー時はダイバージェンスのサインを根拠にしてもいいですが、だましかどうか慎重に判断する必要があります。
本記事内では、売買シグナルは、MACDのゴールデンクロスおよびデッドクロスのみを対象とします。
MACDのエントリーサインの基礎を勉強したい方はこちらチェック!
https://fx-benkyou.com/macd-ouyou-2tsu/
https://fx-benkyou.com/macd-ouyou-converdiver/
移動平均線MACD手法|利益確定のタイミング
利益確定のタイミングはトレードの時間軸やスタイルに応じて利益を確定させる必要があります。
移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスのタイミングを1つの指標として参考にすることがあります。
買いエントリーの場合は、移動平均線がデッドクロスしたタイミング
売りエントリーの場合は、移動平均線がゴールデンクロスしたタイミング
移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスの基礎を勉強したい方はこちらチェック!
https://fx-benkyou.com/idouheikinsen-2/
移動平均線MACD併用手法|
実際のエントリーポイント例(買いエントリー)
※ポンド円の4時間足(期間:2021年12月22日~2022年1月10日)
以上のように、移動平均線が上向きの場合は、必ず買いポジションでエントリーを検討することが重要です。
そのうえで、MACDがゴールデンクロスした場合に買いエントリーしましょう。
(売りエントリー時は、反対に移動平均線が下向きであり必要がありますが、考え方は同様です)
ゴールデンクロスをエントリーサインとする場合、エントリー③のように角度が急であればあるほど、強い上昇が考えられますので、さらに優位なトレードとなります。
逆に、エントリー①やエントリー②のように、エントリー条件は満たしているものの、やや角度がゆるやかな場合は、エントリーを見送る判断をしても良いでしょう。
また、上記のチャートにおいて、MACD単体で判断すると、以下のように何度もだましが発生していることが分かります。
MACDでは、売りのエントリーサインが出ていますが、移動平均線は上向きのため、売りエントリーに対して、だましとなっています。
このように移動平均線とMACDを併用することで、それぞれを単体で使用するよりも遥かに優位なトレードが可能となります。
これまでの解説をまとめると以下のようになります。
移動平均線MACD併用手法|
買いエントリーの場合
移動平均線 | ゴールデンクロス(MACD) | 買いエントリー判断 |
上向き | 急角度 | ◎ |
上向き | ゆるやか | 〇 |
下向き | 急角度 | × |
下向き | ゆるやか | × |
移動平均線MACD併用手法|
売りエントリーの場合
移動平均線 | ゴールデンクロス(MACD) | 売りエントリー判断 |
下向き | 急角度 | ◎ |
下向き | ゆるやか | 〇 |
上向き | 急角度 | × |
上向き | ゆるやか | × |
移動平均線MACD手法|エントリーの注意点
解説したように移動平均線とMACDを併用することで、相場の流れに高確率で乗ることができます。
ただし、売買シグナルだけでエントリーすることは危険です。
例えば、エントリーポイントのすぐ近くにトレンドラインや水平線がある場合が考えられます。
1つのシグナルだけではなく、チャートを多角的に見ることが何よりも重要なので、本手法を活用しつつ、様々な観点でトレードを行いましょう。
まとめ|移動平均線MACD併用手法のポイント
・移動平均線の向きを必ず初めにチェックすること
・移動平均線のエントリーサインが「買い」であれば、MACDのエントリーサインも「買い」であること(売りの場合も同様)
・MACDのゴールデンクロス・デッドクロスの角度が急であればあるほど良い
・移動平均線、MACDの設定値は、好みやトレードスタイルにより異なる