株式市場や為替市場などの金融市場では、相場が急変動することは多々あります。
トレードのやり方によっては、大きな損失を出してしまうこともあるでしょう。
リアルトレードで大きな損失を出した実体験の振り返ってお話いただく「トレード実体験シリーズ」の第1弾です。
実体験の振り返りにご協力いただいたトレーダー様の約10年間のトレード人生において、最も大きな損失を出してしまったトレードについて紹介します。
これから投資を始める人は、いきなり大きな失敗をしないよう、この失敗談を教訓にしていただければ幸いです。
本稿はよりリアリティを感じていただくため、主観的な表現で表記してあります。
目次
株価指数先物取引「日経225ミニ先物」
私が大損した時にトレードした金融商品は、株価指数先物取引の「日経225ミニ先物」です。
まずは、日経225ミニ先物とはどのような金融商品なのかを簡単に説明します。
日経225ミニ先物は、日経平均株価(日経225)を対象にした株価指数先物取引で、日経平均株価に連動する金融商品です。
日経225ミニ先物では、1枚あたりの買付金額は毎週更新される「SPAN証拠金」により上下し、執筆時点(2021年8月末)でのSPAN証拠金は126,000円となっています。
また、1枚あたりの取引単位は「日経平均株価×100」で計算します。
つまり、日経平均株価が27,000円であれば、2,700,000円分の取引をすることになります。
証拠金として差し入れる金額が126,000円で、実際には2,700,000円分のトレードをすることになるので、実際の投資金額よりも大きな金額であることがおわかりいただけるでしょうか。
さらに具体的に言うと、日経225ミニを1枚買付して日経平均株価が100円値下がりすると、10,000円の評価損となります。
私は日経225ミニ先物で、保有資金以上の金額をトレードし、大きな損失を出しました。
日経225ミニ先物取引のメリットでもある、「少ない資金で大きな金額のトレードができること」が裏目に出たわけですね。
「コロナショック」により連日大幅安
前述した日経225ミニ先物のトレードで大損したのは、「コロナショック」による暴落時です。
2020年に入り、中国で新型コロナウィルスの感染拡大が報道されました。
その後、感染者は徐々に世界中へ拡がり、日本でも感染が拡がり始めました。
それを嫌気したマーケットは、2月中旬あたりから大きく下落する展開になったのです。
2月21日の日経平均株価の終値は23,386円でしたが、約1か月後の3月19日には16,358円まで下落しています。
日経平均株価が1か月足らずで約7,000円下落したことになります。
当時は世界同時株安となり、株式以外にも多くの金融商品が値下がりしました。
市場はパニック状態で、まさに売りが売りを呼ぶ展開でした。
そんな中、私もトレーダーとして市場に参加し、国内株式や株価指数先物のトレードをしていたのです。
たった3日で約600万円の評価損に
相場が大きく下落する中、「そろそろ買いを入れてみよう」と思い、日経225ミニ先物を「30枚」買付しました。
当時のSPAN証拠金は150,000円前後だったので、私が使った証拠金は4,500,000円程度(150,000×30枚)です。
日経平均株価は19,000円台で買付したので、約57,000,000円分(19,000×30枚×100)の建玉となります。
当時の私は、日経平均株価が23,000円台から20,000円割れまで大きく下落していくところを、ある程度冷静に見ることができていました。
というのも、下落の初期段階でキャッシュポジションを多めにとっていたためです。
これだけ大きく下げればリバウンドするだろうと考えていたので、買いのタイミングを計っていました。
19,000円台前半あたりまで下がったところで、下落もひとまず落ち着くのではないかと判断し、逆張りでの買付を行いました。
しかし見事に予想は外れ、日経平均株価は下げ止まらず、3日後には17,000円近辺まで下落しました。
たった3日で約2,000円下落し、6,000,000円(2,000円×30枚×100)の評価損となってしまったわけです。
もちろん損切りを考えるタイミングは何度もありましたが、なかなか切ることができず、評価損を拡大させてしまいました。
さらなる値下がりへの不安から、ほとんど眠れなかった
株価指数先物取引は取引時間が長く、夜間の取引も可能です。
取引時間は、8時45分から15時15分、16時30分から翌5時30分までとなっています。
当時は夜間でも大きな値動きをしていました。
もちろん、各国の株式市場も乱高下しています。
値下がりへの不安からなかなか眠れず、アメリカやヨーロッパの株式市場の動きなども確認しつつ、夜中も相場の動きを見ていました。
評価損が膨らむ中、早くリバウンドしてくれないかと祈りながら見ていたのを覚えています。
トレードをする上で最もやってはいけないことのひとつが「感情的になること」ですが、当時の私は全く冷静ではありませんでした。
本来ならば冷静に損切りしなければいけないタイミングでも、「そろそろリバウンドするかもしれない」と淡い期待を持ち、損切りできませんでした。
不安と疲労に耐え切れず、損切り
最終的には、「これ以上下がったら立て直せなくなる」という不安が大きくなり、損切りしました。
昼夜問わず相場にかじりついていたので、疲労が溜まっていたということもあります。
損切りしたのは買付から3日後で、確定した損失は約500万円でした。
結果的には損切りした約1週間後に大きくリバウンドする流れとなりましたが、心も体も余裕が無く、それまで保有していられませんでした。
落ちてくるナイフはつかむな
「落ちてくるナイフをつかむな」。
急落時の買付は落ちてくるナイフをつかむようなもので、どんなに魅力的な銘柄でもナイフが床に落ちてから、つまり底を打ったのを確認してから投資すべきという意味です。
有名な投資格言ですね。
当時の私がしたトレードは、まさに落ちてくるナイフをつかむようなものです。
普段はテクニカル分析も活用しながら、客観的で冷静なトレードを心掛けているつもりでした。
しかし、当時は底を打ったのをしっかり確認せず、値ごろ感から買付してしまったのです。
コロナショックにより大損したことで、落ちてくるナイフをつかんではいけないことを改めて痛感し、まだまだ経験や勉強が足りないのだと感じました。
それから投資本をたくさん読み、改めてテクニカル分析やメンタルコントロールなどについて勉強し直しました。
今でも毎日相場に向き合っていますが、コロナショックでの大損を教訓に、安定したトレードができています。
大損しないコツ
トレードで成功するためには、大損しないことが重要です。
大損してしまうと、立て直すのが非常に難しくなるためです。
では、コロナショックで大損した経験を踏まえて、私が考える大損しないコツを3つ紹介します。
なんとなくでトレードしないこと
「そろそろ上がりそう」、「もう下がらなそう」など、根拠のないトレードをしてはいけません。
テクニカル分析などを活用して、理論的かつ視覚的に判断しましょう。
テクニカル分析のおすすめ
損切りラインを決めてからトレードすること
大きな損失を出さないためには、機械的に損切りしましょう。
だらだらと保有すると、状況が悪化することもあります。
感情的にならないこと
予想と違う値動きになったからといって、ムキになって買い増しをしたり、挽回しようと大きな資金を投入したりせず、冷静に判断しましょう。
感情的なトレードをしてしまいがちな人は行動経済学で心理学の勉強をするのがおすすめです。
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これらのコツを押さえておけば、相場から退場しなければならないほどの大損はしなくて済むでしょう。
これから投資を始める人は、いきなり大きな失敗をしないように、ぜひ実践してみてください。