毎年この時期になると、アメリカワイオミング州ににあるジャクソンホールに各国の金融政策を担う要人たちが集まり政策議論をかわします。
2021年はコロナ禍ということもありリモートで会議が行われました。
もともとは金融当局者たちのサロンのような集まりでしたが、2010年当時のFRB議長バーナンキ氏が量的金融緩和の開始を示唆するなど重要な発言も行われるようになりました。
そのためジャクソンホール会議での発言は年々注目度が上がっています。
今回1番の目玉となったのはFRB議長ジェローム・パウエル氏の発言です。
今までになく踏み込んだ発言もあり、相場は大きく影響を受けています。
今回は、そんな8/28に行われたジャクソンホール会議の概要とSNSの反応について見ていこうと思います。
目次
2021年8月27日のジャクソンホール会議の概要
前回のFOMC議事要旨によると「ほとんどの参加者」が年内のテーパリング開始が妥当だという意見であることが明らかになりました。
この「ほとんどの参加者」にパウエル議長が含まれているかどうかは定かではありませんでした。
しかし、ジャクソンホール会議ので「経済が予想どおり進展した場合、年内に資産購入ペースの縮小を始めるのが適当というのが私の考えだ」と述べ、年内のテーパリング開始を示唆したのです。
テーパリングのための物価指数の条件は整っている
テーパリングを開始するためには物価安定と雇用最大化が条件とされています。
そのうち物価の安定をはかる物価指数の条件は整っているとパウエル議長は公言しました。
実際、アメリカの7月の個人消費支出物価指数(前年比)のうちコア指数(食品とエネルギーを除く)が3.6%上がっています。
いまいちピンとこない方もいるか思いますが、これは約30年ぶりの高い伸び率であり、テーパリング開始には妥当な数値と言えるでしょう。
雇用者数も十分な数値となっている
パウエル議長は雇用面においても「ここ数ヶ月労働市場の見通しはかなり明るくなった」と発言しました。
実際、非農業部門雇用者数(前月比)を見てみると、6月は938,000人UP、7月は943,000人UPとなっています。
物価指数、雇用者数ともにテーパリング開始には申し分ない数値ですが懸念点がいくつか存在します。
失業率が高い
まず一つ目は失業率が高いということです。
パウエル議長も会議の中で失業率の高さについての言及がありました。
アメリカの失業率は7月の段階で5.5%となっています。
今後失業率がどのように改善されていくかによって金融政策は大きく左右されるでしょう。
デルタ株による経済への影響
2つ目はデルタ株による経済への影響です。
ワクチン普及によってコロナ禍が収束するかに見えましたが、ここにきてデルタ株による感染が広がっています。
デルタ株による経済への影響は予想が困難だということもあり対応は慎重に成らざるを得ません。
失業率高さとデルタ株による先行きの不透明さがあるため利上げの条件を完全に満たしているとは言えないのです。
あと3回ある年内のFOMCに注目
おそらく年内にテーパリングが開始されるとされていますが、
「本当に開始されるのか?」
「いつ開始されるのか?」
は発表されていません。
おそらく、年内に3回あるFOMCのどこかで発表されると見込まれています。
9月の雇用統計次第では、次のFOMCでの発表もありうるため、今後の動きに目が離せません。
SNSの反応
ドル円に関する反応
ジャクソンホール会議後は大きな値動きを見せたドル円相場ですが、現在は均衡状態が続いています。
現在は様子見の安定相場が続いているようです。
それでもドル円は上目線継続
爆上げ望んでた所で昨日のちょろり上昇.715の安値が強いレートだからが当然意識されて
手前から順当に押し目を拾われるここから上げても良さそうな気はしたけど
すんなりはいかんのね8月の月末の枯れとジャクソンホールも
重なったことで横にけん制し合う動き2/3 pic.twitter.com/z5cRrV78aJ
— Key.🇯🇵🐒 (@kemonchuru) September 1, 2021
メガバンクですか。
ジャクソンホールも終わり、一旦、様子見の安定相場が続きそうな気がします。
相場の環境が安定であれば、配当落ちに向けて一時的に上がる方向に進む可能性は高そうな気はします。
MUFG・SMFGのどちらを購入されるのですか。— たま (@eH1nqrEZoAjhx83) September 1, 2021
>政治面では菅政権の支持率が低いため、選挙の勝敗にかかわらず支持率アップを狙った経済対策への期待感もある
>ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長のハト派発言受けて、週明けの会議で運用方針を検討した大手の機関投資家がきのうから買い始め、きょうも足りない分を買っていることも想定できる— ぬらりん(株専用) (@kkkno311) September 1, 2021
それにしても各国経済指標弱めのわりに株価は戻り基調、どうもジャクソンホール以降参加者の焦点がまた緩和に逆戻りした感。コロナ相場2回戦をやりたがっているように見える。同じネタで2度は上げないのが常だが、官製バブルの緩和ネタには通用しないのか。
— 買い下がり投資家 (@bowraku) September 1, 2021
ジャクソンホール通過後から
結構楽観的な相場になってるけど
金曜日の雇用統計で強い数字が出たら相場は荒れるだろうからまだ強気にはなれないな。— ヒソかぶ (@hisokabu1006921) September 1, 2021
米国株に対する反応
S&P500、ダウ指数、ナスダックは数ヶ月単位でみると大幅に伸びてきています。
ジャクソンホール会議後の動きに注目が集まっていましたが、雇用統計や物価指数に関する見解がよかったこともあり、ダウ指数の反発もありますが再び順調に伸びてきています。
ただし、8月のパフォーマンスがよかったこともあり、9月の動きに警戒しているトレーダーもいるようです。
8月はジャクソンホール会議の講演後跳ねたのもあり好調に推移した1ヶ月
S&P500 +2.9% 4月以来の大幅な伸び
ダウ +1.2% 2ヶ月連続伸び
ナスダック +4%近く 3ヶ月連続伸び夏枯れと言われる8月ですが、
パフォーマンスの良い1ヶ月になった一方
先食い感あり9月以降は警戒してます😽— 株USA かぶうさジョニー (@USA53KaBu) August 31, 2021
増の7億7043万株。週間ではダウ平均が0.96%高、ナスダック総合は2.82%高と3週ぶりに反発。
注目されたジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が「ジャクソンホール会議」で講演し「コロナ変異株が短期的にリスクだ」とする一方「インフレ率は目標に達し新型コロナウイルス禍で失われた雇用は最大化に— 立沢賢一 (@ken_tatsuzawa) August 31, 2021
8月31日
先週のジャクソンホール会議での堅調な景気回復の確認、テーパリングの慎重姿勢により、低金利恩恵のあるハイテク株が買われ、ナスとS&P500上昇。ダウは小幅下落。それにつられて高配当ETF $SPYD $VYM が下落。 $HDV はほぼ横ばい。各銘柄の関連性が見えますね。#米国株 #株価#投資初心者 pic.twitter.com/ZhamFBs3IU
— やすけ@IT業界人x米国株長期投資家 (@yasukecom) August 31, 2021
ゆる概況 きのうの
30日の日経平均株価は148円15銭高の2万7789円29銭と反発。
先週末の米株価はナス、SPが最高値更新、ダウも反発。ジャクソンホール会合でのパウエルさんの発言が予想よりハトと受け取られたようだ。「テーパリングは利上げの時期にシグナルを出すものではない」— かのぴー (@kanouchi) August 30, 2021
8/28ジャクソンホール会議 まとめ
今回は、2021年の8/28に行われたジャクソンホール会議の概要とSNSの反応について見ていきました。
テーパリング開始に向けて条件は整いつつあるものの、今回のジャクソンホール会議では年内の開始を明言することはありませんでした。
概ね計画通り進んでいることもあり、相場も大きな変動は起きなかったと言えるでしょう。
また、9月にはFOMCがあるので、そこでどのような発表があるかは見逃せませんね。