ユーロは世界で2番目に多い取引量を誇り、米ドルと共に主要通貨と言われています。
米ドルとユーロは2大メジャー通貨であるため、通貨別の取引量では米ドルとユーロだけで全体の6割程になります。
FXでも、ユーロ通貨のペアが沢山あります。ユーロ/ドル ユーロ/円 ユーロ/スイスフランなど、15種類以上あります。
中でも、ユーロ/ドルの通貨ペアは世界一の取引量があり、FX全体の取引量の約4分の1を占めています。
また、ユーロ円は日本人にとても人気がある通貨で、初心者にもおすすめです。
ユーロに関しては豊富な情報量があるので、取り引きしやすい通貨です。
今回は、ユーロの特性や位置づけ、ユーロ相場に影響を与える要因について解説致します。
目次
ユーロ概要
ユーロは、EU加盟国25か国中、19ヵ国で使用されている国際通貨です。
ユーロは比較的新しい通貨で、実際に貨幣として流通したのは2002年1月からです。
歴史を簡単に振り返ってみましょう。
1957年、ヨーロッパではアメリカなどの巨大市場に対抗するため、EEC(欧州連合共同体)が誕生しました。
EEC(欧州連合共同体)誕生後は、もっと自由な商品の移動や労働力の移動を推進する声が高まり、市場統合だけでなく金融市場の統合を望む声が上がりました。
その結果、1991年1月にEU(欧州通貨連合)の単一通貨である「ユーロ」が導入され、通貨統合が実現したのです。
ユーロを通貨として使用している国々は、ユーロ圏と呼ばれており、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が通貨の管理を行っています。
ユーロ圏の人口はアメリカの人口に匹敵し、米ドルと並び大きな影響力を持っています。
ユーロの位置づけ
(1)ユーロ圏のGDP
ユーロ圏の経済圏の世界に占めるGDPの割合は、アメリカに次いで世界で2番目に大きな割合を占めています。
ユーロ圏全体の経済指標も大事ですが、ドイツ・フランス・イタリア・スペインの経済指標もチェックすることをお勧めします。
なぜなら、ユーロ圏のGDPでは、ドイツとフランスだけでユーロ圏の半分を占め、さらにイタリアとスペインを加えると、ユーロ圏のGDPの4分の3を占めるためです。
この4か国を把握すれば、ユーロ圏の経済動向がよく理解でき、ユーロ圏全体の流れも把握しやすくなるでしょう。
また、ユーロはユーロ各国の財政問題とも大きく関係しています。
ある国の財政が悪化すると、ユーロも影響を受け、ユーロの価格が下がります。
ギリシャやスペイン、イタリアの財政が悪化し、ユーロ価格が下がったこともありました。
ユーロは、ファンダメンタルズも大変重要な通貨です。
(2)ユーロは第2の基軸通貨
ユーロは、世界第2位の取引量を誇る通貨で、第2の基軸通貨とも言われています。
米ドルとユーロ通貨は、世界の2大通貨です。
ユーロのコインと紙幣を合わせた流通量は、世界1位で、1兆3000億ユーロ以上になっています。
また、ユーロは米ドルの次に外貨準備高も高い通貨です。
ユーロの特徴
多国間で使用されているユーロ通貨には、メリットとデメリットがいくつかあります。
大前提としてユーロは、ヨーロッパ内での問題の影響を受け、相場が動く特徴があります。
(1)ユーロ通貨のメリット
単一通貨であるユーロの導入により、ユーロ圏は為替相場のリスクがなくなり資本の移動が自由になりました。
単一通貨ユーロは、為替手数料がかからず大幅な物流コストがカットできます。
資本と人材が生産性の高い産業に流れるため、高い経済成長率を達成できるメリットがあります。
(2)ユーロ通貨のデメリット
ユーロは、ユーロ導入を決定した国の経済状況に左右されるリスクがあります。
ユーロ圏の各国の財政状況は異なっているためです。
ある国に経済危機の恐れがある場合、ユーロ価格が下落するリスクがあります。
さらに、財政基盤の強い国が支援する必要があります。
そのため、臨機応変に金融政策を判断して行く必要がありますが、単一通貨のためそれぞれの国にあった金融政策を打ち出せない、という問題も抱えています。
また、ユーロはアラブなどの近隣諸国とも深くかかわっており、軍事的なリスクや経済危機のリスクが高まると、ユーロが売られやすくなる(下落する)リスクがあります。
(3)ユーロと米ドルの関係とは?
世界一の取引量を誇るユーロ/ドルは、逆相関関係にある通貨とも言えます。
米ドルにリスクがあれば、代わりにユーロが買われやすくなります。
「ユーロが買いの時は、米ドルは売り」になり、「ユーロが売りの時は、米ドルは買い」という関係です。
ユーロは、米ドルと逆相関関係にあると考えると、「金などの相場と相関関係にある」とも考えられます。
しかし、「相場に絶対はない」ので注意が必要です。
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ユーロに影響を与える要因とは?
ユーロ相場が変動する理由は様々です。
相場は、需要と供給の関係で成り立っています。
ユーロを買いたい人が増えれば価格は上がりますが、ユーロを売りたい人が多ければ価格は下がります。
短期的にユーロ相場に影響を与える要因は、要人の発言や経済指標の発表、軍事衝突などの地政学的リスクなどがあります。
ここでは、ユーロに大きな影響を与えるユーロ圏の政策金利と、景気動向について解説します。
(1)ユーロ圏の政策金利(ECB)
ECB(欧州中央銀行)は、1998年6月に設立され、ユーロ圏(19ヵ国)の金融政策を決定します。
金融政策は、物価の安定や雇用の増大に効果的であると考えられています。
各国の中央銀行は、ECBの政策に基づき金融調整を行っています。
ユーロ圏の金融政策発表時には、アメリカのFRBと同じく市場関係者の注目を集め、相場が大きく動く場合もあります。
(2)景気動向
ユーロ圏の景気回復局面では、ユーロ価格が上がる要因になります。
また、ユーロ圏での重要な経済指標は、ユーロ圏消費者物価指数・ユーロ圏GDP・ユーロ圏失業率・ IFO景況指数です。
これらは、ユーロ圏の景気動向を知る重要な指標です。
また、アメリカ雇用統計を代表とする、アメリカの景気動向の影響も大きく受け、相場が変動することもあります。
ユーロが上がる理由
国際情勢 | 軍事衝突などの政学的リスクがなくなった場合 |
金融政策 | ECB(欧州中央銀行)が発表する金利政策(利上げ)・金融緩和策の縮小 |
経済指標 | ユーロ圏消費者物価指数・ユーロ圏GDP・ユーロ圏失業率・IFO景況指数などの経済指標が予想より良かった場合 |
ユーロが下がる理由
国際情勢 | 軍事衝突などの政学的リスクがある場合 |
金融政策 | ECB(欧州中央銀行)が発表する金利政策(利下げ)・金融緩和策の拡大 |
経済指標 | ユーロ圏消費者物価指数・ユーロ圏GDP・ユーロ圏失業率・IFO景況指数などの経済指標が予想より悪かった場合 |
今後もユーロの動向に注目していきましょう。
第2の基軸通貨と言われているユーロは、米ドルと同様にマーケットに大きな影響力を持っています。
FXでも、ユーロは沢山のペアがあり供給量も多く、ユーロに関する情報も豊富なため、初心者にもおすすめの通貨です。
ユーロ/ドル、ユーロ/円は、値動きが緩やかで、比較的安定している通貨です。
特に、ユーロ/ドルは戦略的に動く通貨ともいわれているので、テクニカル分析が効く通貨でしょう。
しかし、多国間で使用されているユーロは、金融政策や要人発言、景気動向などによって大きく変動することがあります。
今後も常にマーケット情報をチェックし、ユーロの動向に注目していきましょう。