目次
フィボナッチ数列とは
フィボナッチ数列とは、1202年にイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチによって発表された「算盤の書」という書籍の中で提唱された数列のことを指します。
この数列の特徴は、「二つ前の数値と一つ前の数値を足すと、次の数値になる」ということです。
この数列を漸化式で表すと、
A1=A2=1
An+2=An+1+An(n≧1)
となります。
具体的な数値にすると
「1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89…」
となる数列です。
どのような計算をしたかというと
1+1=2
1+2=3
2+3=5
3+5=8
5+8=13
という足し算をひたすら続けるだけのシンプルな数列です。
フィボナッチ比率
またフィボナッチ数列には面白い特徴があります。
- ある数値の1つ後の数値で割ると、0.618になる。
- ある数値の2つ後の数値で割ると、0.382になる。
- ある数値の3つ後の数値で割ると、0.236になる。
「ある数値の1つ後の数値で割ると、0.618になる」を実際に検証してみましょう。
1÷1=1
1÷2=0.5
2÷3=0.67
3÷5=0.6
5÷8=0.625
8÷13=0.615
13÷21=0.619
21÷34=0.618
34÷55=0.618
と21以降は0.618に収束していくことがわかります。
「ある数値の2つ後の数値で割ると、0.382になる」でも「ある数値の3つ後の数値で割ると、0.236になる」でも同じような現象が起こり、フィボナッチ数列の後半になると、一つの数値に収束していくことが分かっています。
この比率のことを、フィボナッチ比率や黄金比率と呼びます。
様々な分野で見られるフィボナッチ比率
フィボナッチ比率は自然界でも観測される比率です。
例えば、木の枝の分かれ目や、ヒマワリの種の配列にもフィボナッチ比率が見られます。
さらに、エジプトのピラミッドの底辺と高さの比率や、有名なモナリザの絵でも利用されていることが分かっています。
つまり、フィボナッチ比率を基としているものを人間が心地良い、あるいは美しいと感じることが多いことを意味しています。
これを投資に当てはめると、人間の心理が働いている相場に適用できます。
FX、CFD、株の取引は人間の心理が深く加担しています。
したがって、フィボナッチ比率が多分に発生してもおかしくはありません。
フィボナッチ比率を利用したテクニカル分析の種類
フィボナッチ比率を活用したツールは様々あります。
その一部を紹介します。
フィボナッチファン
ある価格からトレンドラインを引き、そのラインを割った後、次に反転するポイントを探るのがフィボナッチファンです。
そのある価格を起点として、相場のトレンドに合せて、斜めのラインを数本引く事で、相場の流れを読む方法です。
フィボナッチアーク
時間的な要素をフィボナッチ比率に用いた分析方法で、アーク(円弧)を用いて値動きと時間の経過から、相場を予想する手法です。
フィボナッチエクステンション
トレンドの上昇がどこまで行くのかをフィボナッチ比率を用いて予想する方法です。
相場は基本的に、トレンド相場かレンジ相場の2種類です。
その中でも、トレンド相場に焦点を当て、相場の上昇を推測できます。
フィボナッチチャネル
チャネルラインを割った時、相場価格がどこまで下降するかをフィボナッチ数列で計算する方法です。
チャネルラインとはローソク足の上値側同志を結んだライン、あるいはローソク足の下値側同志を結んだラインから平行に移動させたトレンドラインを指します。
トレンドの推進波は、一時的にチャネルラインを抜けることが多いので、相場の予想に利用できます。
フィボナッチタイムゾーン
フィボナッチタイムゾーンは、1、2、3、5、8、13、21、34、55…とフィボナッチ数列で出てくる数値を使って、時間軸上で間隔をあけて垂直線を引くテクニカル分析です。
引いた垂直線のタイミングで、大きく値が動くことが期待されます。
このフィボナッチ分析も、フィボナッチファンと同様、時間的な要素を軸とした分析方法です。
フィボナッチリトレースメント
フィボナッチ系分析手法の中で、もっとも使われているものが、フィボナッチリトレースメントです。
リトレースメントとは、「引き返す」、「後戻りする」という意味です。
簡単に説明すると、高値、安値の値幅にフィボナッチ比率を掛け合わせることで、相場のどの部分がサポートラインやレジスタンスラインになるかを予想することができる分析方法です。
相場は下降や上昇をギザギザに繰り返し、トレンドを形成していきます。
その中には、押し目や戻りがあることは周知の事実です。
前もって、フィボナッチリトレースメントを引いておけば、トレンドが反転する価格帯を予想することができます。
また、相場を予想するには、投資家の心理を読むことが肝になります。
多くの投資家が使用しているフィボナッチリトレースメントを把握しておけば、相場の動向を推測することが容易になるでしょう。
フィボナッチリトレースメントでチャート分析する
一番利用されているフィボナッチ分析はフィボナッチリトレースメントです。
もう少し詳しく解説します。
フィボナッチリトレースメント|線の引き方
フィボナッチリトレースメントは一番利用されているフィボナッチ分析なので、もう少し詳しく解説します。
まず基本的な線の引き方です。
上昇トレンドの場合、トレンド発生時の安値からトレンド終了する高値までラインを引ひます。
下降トレンドの場合、トレンド発生時の高値からトレンド終了時の安値までをライで引きます。
ただし、高値、安値には、ローソク足の実体とひげの部分があり、どちらを利用するかは特に決まっていません。
なので、自分で試行錯誤をして、一番効いていると感じた線を導き出す必要があります。
しかし、トレンドの始まりと終わりを探すためには、テクニカルの基礎を学んでおく必要があります。
チャートを眺めてもフィボナッチが引けない・・・とお悩みの方は、ダウ理論について勉強してみましょう。
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フィボナッチリトレースメントで何を予測するのか
フィボナッチで線を引いたあと、どのようにしてシナリオ予測に役立てられるのでしょうか。
最低限、これくらいの予測は立てておきたいことを3つ紹介します。
①トレンドの反転を予測できる
3つの数値、38.2%、50%、61.8%のフィボナッチ比率は、サポートラインや、レジスタンスラインとしての役割もあります。
そのため、それらのラインにチャートが重なった時点で、相場が反転することが予想できます。
一時的な上昇率、下降率を読める
上昇トレンド中での一時的な下降や、下降トレンドの一時的な上昇を判断することができます。
具体的には、上昇トレンドにおいて、フィボナッチ比率38.2%までの下降であれば、その後はもう一度上昇トレンドに戻るだろうと目星をつける事が可能です。
また、フィボナッチリトレースメントで利用されるフィボナッチ比率には38.2%以外にも、50%、61.8%が指標として使われます。
どの比率が的中しやすいかは、実際に使ってみて理解するしかありません。
トレンドの勢いを読み取る
トレンドの勢いを知ることが出来ます。
フィボナッチ比率23.6%、38.2%、50%、61.8%のどこでトレンドが反転するかでトレンド自体の強弱が分かります。
値の小さい比率で反転するほど、トレンドが強いといえます。
まとめ
フィボナッチ数列や、フィボナッチ比率、フィボナッチ分析の種類などについて触れてきました。
ここまでのことを整理すると、
- ・フィボナッチ数列は、レオナルド・フィボナッチによって発見された。
- ・フィボナッチ比率は自然界の様々なところで観測することができる。
- ・フィボナッチ比率や数列は相場のトレンドを読むことにも利用できる。
- ・フィボナッチ系テクニカル分析で一番使われているのは、フィボナッチリトレースメント。