アメリカ通貨の米ドルは、市場関係者が最も関心を寄せている通貨です。
米ドルの影響力は大変大きいので、相場では最も注目を集めています。
FXでも最も人気があり、世界のほとんどの通貨に影響力を持っています。
FXでは、USD/JPY(米ドル/円)の他に、EUR/USD(ユーロ/米ドル)やGBP/USD(ポンド/米ドル)など、ドルストレートの通貨ペアが沢山あります。
今回は、米ドルの特性や影響力、米ドル相場が為替が変動する要因、米ドルと金の関係を解説致します。
しっかりと理解をして、FXの取り引きに活用して下さい。
目次
アメリカの経済規模は世界最大で、米ドルは流出量世界ナンバーワン
アメリカの国内総生産は世界第一位で、世界中のGDPの20%以上を占めます。
アメリカの経済規模は世界最大のため、世界経済に大きな影響力を持っており、世界の将来の景気動向を予測するのに大変重要です。
また、米ドルの流通量も世界一位で、世界中で流通しており、国際的な取り引きでも広く使用されています。
そのため、米ドルに対する信頼はとても厚いものになっています。
米ドルの変動は、世界経済に大きな影響を与えます。
世界中の国が米ドルと比較して、自国の通貨の高い・低いを判断しているため、米ドルに対する関心はとても高いものになっています。
米ドルの影響力
(1)米ドルは基軸通貨である
国際通貨とは、国際的な信用力があるため広く流通している通貨のことです。
米ドル・ユーロ・日本円・ポンド・スイスフラン・豪ドル・カナダドルがあります。
国際貿易などの決済で使用される通貨です。
基軸通貨とは、これらの通貨のなかでも、国際貿易を行った際に決済通貨として一番使用されている通貨のことです。
一般的には、米ドルのことを基軸通貨と呼びます。
基軸通貨により、世界のマーケットの流動性は高いものになっています。
米ドルは現在の基軸通貨であるため、世界中の国が支払い準備として多く保有しています。
(2)有事のドル買いとは?
相場では、「有事のドル買い」という有名な言葉があります。
「有事のドル買い」とは、世界で戦争などの有事が起こると、投資家がリスク回避のためにドルが買われやすくなることを意味します。
米ドルは流動性や国際的な信頼があるため、投資家などが基軸通貨である米ドルを買って不測の事態に備えるためです。
リスクオフとも言われます。
過去の「有事のドル買い」の有名な例をご覧ください。
1985年9月 プラザ合意
1986年6月 天安門事件
1990年 クウェート侵攻
2006年 レバノン侵攻
為替相場で最も有名な例は、プラザ合意です。
これは、政治によるドル買いの有名な例です。
当時、アメリカは、日本との貿易赤字を憂慮していました。
そこで、1985年9月のプラザ合意でアメリカのドル高を是正するための話し合いが行われました。
その結果1日でドル/円が20円下落しました。
しかし、最近の事例では、有事のドル売りが起きる例も出てきました。
2008年のリーマンショック以降、米国債が格下げされた影響もあるようです。
アメリカに対して以前ほど有事のドル買いが行われていない、という専門家もいます。
日ごろから世界情勢や政治のニュースをチェックしておきましょう。
為替相場は、いろいろな影響を受けて変動するので、常にアンテナを張っておく必要があるでしょう。
米ドルに影響を与える原因とは?
為替の変動要因として、金利や景気動向、物価や要人発言、金融政策や国際情勢など様々です。
ここでは、米ドルに変動を与える要因のうち3つを紹介します。
- 日米の金利差
- FOMCでの金融政策
- 景気動向
(1)日米の金利差
短期的に見た場合、為替相場を動かしている主な要因の1つに、日米の金利差があります。
多少相違がありますが、米ドル/円と日米の金利差を比較すると、ほぼ同じ動きをします。
これは、過去十年の為替相場の動きにも現れています。
日本の金利は低いため、アメリカの金利が上昇して日米の金利差が大きくなると、投資家はドル投資に関心が集まります。
投資家は円を売り、ドルを買う動きが増えます。
その結果、円安ドル高になります。
反対に、円高ドル安になる時は、アメリカの金利が下がり日本との金利差が縮小した時です。
(2)FOMCでの金融政策
FRB(連邦準備制度理事会)は、FOMC(公開市場委員会)を年に8回開催して金融政策を決定します。
これは、6週ごとに行われます。
FRB(連邦準備制度理事会)は、雇用や物価を安定させることにも取り組んでいます。
米国が金融引き締める傾向になると、米ドルを買う動きが強まり、円安ドル高になりやすくなります。
反対に、金融緩和に向かうと、米ドルの売りの圧力が強まり、円高ドル安になりやすくなります。
金融緩和とは、景気が悪いときに景気を上向かせるために、金利を下げることです。
反対に、金融引き締めとは、過熱している景気を抑えるために、金利を上げることです。
(3)景気動向
相場の変動要因の一つに、アメリカの景気動向があります。
アメリカ国内の景気が良い時は、米ドルが買われてドルの価値が上がって行き、円安ドル高の傾向が強くなります。
反対に、アメリカ国内の景気が悪い時は、米ドルは売られる傾向が強くなります。
また、アメリカの景気動向が分かる大変重要な指標がアメリカ雇用統計です。
毎月第一金曜日に発表されます。
アメリカ雇用統計は、アメリカ経済に影響を与え、将来の景気動向を表す大変重要な指標の一つです。
アメリカの雇用統計について詳しく知りたい方は、概要記事をご覧ください。
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米ドルが上がる要因
金融政策 | 日米の金利差が拡大した時、引き締め傾向 |
要人発言 | ドル高へ導くような発言 |
景気動向 | アメリカ雇用統計、ISM製造業景況指数、 消費者物価指数などが市場の予想より良かった場合 |
米ドルが下がる要因
金融政策 | 日米の金利差が縮小した時、金融緩和の傾向 |
要人発言 | ドル安へ導くような発言 |
景気動向 | アメリカ雇用統計、ISM製造業景況指数、 消費者物価指数などが市場の予想より悪かったかった場合 |
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ドルとゴールドは逆相関の傾向にある
米ドルと金の関係は、「逆相関関係の傾向が強い」と言われます。
米ドルの価格が上昇すると、金の価格が下落する、ということです。
その反対も同様です。
例えば、景気が悪い時や紛争の時は、米ドルが弱いので、金が買われて金の価格が値上がりする傾向があります。
金には不変の価値があるため、ドルが弱いときに買われる傾向にあります。
逆に景気が良い時は、米ドルや他の金融商品の投資に関心が集まり、米ドルの価格が値上がりする傾向があります。
金には、利息が付かないことも影響しています。
金は値動きが激しいので、トレードする際には注意が必要です。
米ドルの特性を理解してトレードしよう!
米ドルは基軸通貨と呼ばれ、世界中で使用されています。
世界中に流通している通貨のため、とても信用が厚い通貨です。
FXでも、私たちになじみ深い米ドル/円は、他の通貨に比べて値動きが激しくないため、取引量は世界第2位です。
米ドルは、FRBの金融政策や景気動向によって変動します。
特に、第一金曜日の雇用統計や金利政策の発表時には、相場が大きく動くので注意が必要です。
政治や国際情勢のニュースを常にチェックし、今後も米ドルの動きに注目して行きましょう。